<第一部>

「鎮魂」   朗読・佐々木幹郎

       津軽三味線・高橋竹山

「彩」    高橋竹山+小田明美 

 

 

<第二部>

東北巡礼と民謡のこころ

詩の朗読とトーク  佐々木幹郎

津軽三味線・唄   高橋竹山

ピアノ       小田朋美 

 

佐々木幹郎さんの朗読、高橋竹山さんの津軽三味線からステージははじまり、一部では津軽三味線とピアノの新しいサウンドで魅了しました。二部では、佐々木さんのトーク、高橋竹山さんの民謡の演奏。唄と三味線の圧倒的なステージ、こころを揺さぶるお話や演奏と素晴らしい2時間でした。

 

コンサート評と多くの皆様からの感想をご紹介いたします。

 

.11の明日へ 瓦礫の下から唄が聴こえる  

                  高橋竹山×佐々木幹郎― によせて

                                        ありよし古適 杖道家

 

この日、私はただ津軽三味線の演奏を聴きにいくということしか念頭になくコンサートホールにでかけ、受付で受け取ったパンフレットにざっと目を通してからも、その意識がのこった。それは、わたしの経験の浅さにもよるのであろうが、珍しい企画だからなのではないだろうか。

 

幕が開いてみるとなるほど、三味線・ピアノ・詩のコラボであった。あらためてイベントの趣旨に気付く。ことばと音と姿と動きとが生み出す世界。

 

高橋竹山の垂線と斜線と、小田朋美の素手・素足のセンサーをそなえた全身の動曲線とがつくる空間に、三味線とピアノと唄の音・響とが織りなす世界は、「落花流水太茫々」かと思うと、「草木無心以風揺」であったり、自然そのものの営みのようだ。家郷の懐かしさでもある。というより、ただただものの兆す以前の消息であるとしか言いようがない。

 

三名の関わり、それぞれの辿ってきた道もぼんやりとではあるが見えてくる。

詩人・佐々木幹郎のトークと詩の朗読があり、やっとこの催しの全体像が把握できた。

 

言葉と実在の問題は、言語使いとしての人間の避けることのできないテーマである。3.11のあと詩人が言葉を失い、格闘しながらあらためて言葉を生み出す、そしてそこから生まれた詩を朗読されるのにこうして直に接することが出来たのは、貴重な経験となった。

 

 二十代の頃であったか或る好きな曲について、いずれ老いて死の床でこの曲が聞ければ幸いだろう、と思うことがあった。妙だが、そういう曲を聴きながら今にも死を味わいたい、と心の裏表が透明の一枚になることがある。

 

 生死(しょうじ)を越えた存在の根底に触れたい希いが私たちのうちにはなにかしらあって、(音楽に全くといっていいほど疎い私にも)、今回のコンサートは、その方向に導くものがあった。それにあらためて気付くことを可能にするものがあった。

 

 詩篇「明日」のように、(大地に身を投げ出して歎き悲しむのでなく)かすかな笑みさせ浮かべた静けさが、本来の場から兆し芽生え始めている力強さを、このコンサートは感じさせるものがあった。

 

 聴衆は自分も含めて年配者が大半であったが、若い人たちに聞いてもらいたかった。音楽のコラボの形態も実験的なのではなかろうか。しかも、これほど見事に調和するとは想像さえしなかった。

3.11の明日へ  演奏会に参加して

                        かすみがうら市

                        66歳 無職 男性

 

定年退職して自宅にいた私は、今までに経験したことのないような強い揺れの中で、隣の家の屋根瓦が激しく波打っているのを茫然と見ていました。やっと我に返り、妻の仕事先にメールで安否の確認をしました。と言うのは、勿論妻も心配でしたが妻が所長をしている保育所の園児や職員が心配でした。メールは送信になりましたが妻からの返事はありません。この時点では後から知らされるような大きな津波の被害や原発事故を考えることはできませんでした。妻も娘も夜遅く帰宅し、家族が全員無事であったことに安堵し、想像を絶するような状況におかれた被災者の方々に思いを遣ることはできませんでした。3.11を境に多くの人々の暮らしが一転し、今なおご苦労が多い生活が続いていることを思うと心が痛みます。一日も早い復興を願わずにはいられません。

 

今回の企画は、大震災を後世にどのように残していくかが企画意図だと伺いました。

佐々木氏の「瓦礫の下から~」聞こえてきた老人の「八戸小唄」に泣きながらその場を離れなければならなかった人の思い。(この唄は海を讃えるうたという)私は昨年10月被害の大きかった東松島、野蒜、荒船地区を訪れ、被災者の方からお話を伺うことができました。そして皆が助け合って前向きに生きている姿に感動しました。佐々木氏の「明日」はそんな全ての人たちへの希望のメッセージだと思います。

 

 トークの中で、東北の民謡や高橋竹山氏のエピソードも興味深く聞かせていただきました。北島三郎さんの「風雪流れ旅」は竹山さんがモデルだと言うことも後で知りました。二代目竹山さんは40年近く前、先代に付いて土浦に来たとき以来の再会?となりました。その時はジーパンが良く似合う快活そうなお嬢さんという感じでしたが内に秘めたエネルギーを感じる演奏がとても印象的で、それから大ファンになりました。

 

私は同じ三弦でも沖縄の三線を趣味で楽しんでいます。沖縄にも素晴らしい民謡がたくさんあります。その民謡が生まれた風土や歴史、人々の思いに少しでも迫りたいと思いました。

 

 

 

<当日のアンケートより>

 

・本物の日本の言葉に出会えました。感動で心がいっぱいになり涙がこぼれました。ありがとうございます。「ことばの力」を改めて考えさせられます。

 

・津軽三味線とピアノという組み合わせ、新鮮でした。

 

・命・生活・厳しさが、うたの中によみとれ、受け継がれていく大切なものだと思います。力強く、心に浸み入りました。

 

・高橋竹山さんの技の感嘆。初代におとらぬバチさばきに魅了されました。

とてもよかったです。

 

・予想以上にすばらしかった。竹山さんと朋美さんの演奏さいこうです。演奏もお話も、詩の朗読も、もっと聴きたかった。

 

・面白いコラボでした。

 

・「たましい」にふれたおもいでした。ありがとうございました。

 

・とにかくうれしかったです。

 

・命の不思議を感じました。とても素晴らしかったです。寺山修司の詩のうた最高でした。

 

・民謡とピアノのコラボが新鮮で、聴くものにとって新しいジャンルの音楽に思えました。その生みの親である佐々木幹郎先生の感性はすばらしいものがあります。詩の感染が生きていると感じました。

 

・新じょんがらが聴きごたえがあって良かった。

 

・すばらしかった。久しぶりの音色を聴いた。

 

・ピアノと民謡のコラボレーションが以外で良かったです。

 

・相当な技術スゴイ!

 

・素晴らしい!涙がでました。北国が凍りつく寒さを、厳しさ、切なさの中に、ゆくもりややさしさが…

 

・いや衝撃!!新鮮!!最高!!言葉に表せない経験でした。

 

・とても良かった。心を打つ響きにとても感動しました。

 

・ピアノの音の重なり、声の重なりがすばらしかった。

 

・ピアノと民謡のよく合うことを知りました。感謝しました。